素材作りのポイントとしては、鉢作 り(苗から)では、コケ順が意外に作 りにくい樹であること。 足元が細く、 上部の枝が集中するあたりで急に太 くなり、ゴツゴツする特徴がある。 例えば模様樹の樹形では、上部の枝基あたりが根元より太くなったりする。 何回か立て替え(芯を切り、枝をまた立てて作り直してコケ順を作ること)れば解消できるが、この切り口が巻きにくく、枝も直線的に伸び出して、扱いにくい樹種ともいえるのである。 逆にいうと、この特徴を生かしながら、樹勢のある点を利用して取り木するのが面白い。 上部が太くなったような模様樹の頭部や、枝を取り木するわけである。 こうすると、ピラカンサで最もやっかいな樹作りがかなり省略できる。 つまり、全体の構成を気にしないで、上部を鉄で切り込み作りをしておく。 上部だけ形作りをして(徹底した鋏作り)その下で取り木してしまう。 取り木後は、多くの樹種がよく太る。 根元付近も急速に太くなり、コケ順もよくなるのである。 ピラカンサは足元の単調さを取り去ったもの。 半懸崖樹で見るより、前後の奥行きのある曲付けである。 取り木後は足元が充実してくることが予想され、挿し木苗をそのまま苦労して作るより面白 い作品となるだろう。 |